特養相談員が考える！高齢者の薬の管理の問題とその対策について！

• 高齢者の薬の管理が難しい理由
  • 記憶力・理解力の低下
  • 身体機能の衰えによる服薬困難
  • 複数の薬の服用が必要
• 高齢者の薬の管理を助けるための対策方法
  • お薬カレンダーやピルケースの活用
  • 一包化サービスの活用
• まとめ

高齢者の薬の管理が難しい理由

高齢者が薬を適切に管理できなくなる理由は、身体的・認知的な変化によるものが大きいです。加齢に伴う記憶力や理解力の低下、身体機能の衰え、そして複数の薬を服用する必要性など、さまざまな要因が絡み合っています。

記憶力・理解力の低下

加齢とともに、記憶力や理解力が低下していくのは自然なことです。これは薬の服用においても大きな影響を及ぼします。例えば、朝食後に薬を服用したことを忘れ、昼食時に再度服用してしまうことがあります。また、同じ薬を長期間服用していると、その目的や使用方法を忘れてしまうことがあります。

ある高齢者のエピソードとして、Aさん（80代）がいます。Aさんは高血圧の治療薬を服用していましたが、薬の目的や服用方法を次第に忘れがちになり、薬を飲むタイミングがわからなくなっていました。ある日、娘さんがAさんの家を訪れた際に、薬の瓶がいくつか残っているのに気付き、服用したかどうか確認したところ、Aさんは「朝飲んだかどうか覚えていない」と言いました。このように、薬の管理ができなくなることはよくあります。

身体機能の衰えによる服薬困難

高齢になると、身体機能の低下が見られます。特に手指の力が弱くなり、細かな動作が難しくなるため、薬の包装を開けることが困難になります。多くの薬はPTPシート（アルミシート）で包装されており、このシートを開けるにはある程度の力が必要ですが、加齢によりこの力が不足する場合があります。結果として、薬を取り出すのが難しく、取り出せたとしても誤って薬を割ってしまったり、薬の取り違えが生じたりする可能性が高くなります。

例えば、Bさん（70代）は、手指の力が弱まり、薬のシートを開けることが難しくなりました。Bさんは、毎日自分で薬を準備するのが大変になり、間違えてシートごと飲み込んでしまいそうになったこともありました。このような事例があると、服薬時に不安を感じることが多くなります。

複数の薬の服用が必要

高齢者は、多くの病歴を抱えることが一般的です。これにより、複数の薬を服用しなければならないことが多く、服薬の管理が一層複雑になります。例えば、糖尿病の治療薬、高血圧の薬、関節痛のための鎮痛剤など、異なる診療科で処方された薬を同時に服用していることがあります。

Cさん（80代）は、高血圧、糖尿病、関節炎を抱えており、毎日服用する薬が5種類以上になっています。服用のタイミングがそれぞれ異なるため、Cさんは薬を飲み忘れがちになり、家族が確認することが日常になりました。Cさんの娘さんは、薬の管理がうまくできない母親をサポートするために、薬の飲み忘れ防止策を考え、ピルケースを使い始めました。

高齢者の薬の管理を助けるための対策方法

薬の管理が難しくなってきた場合でも、適切な対策を講じることで改善できます。これらの対策方法を実践することで、服薬管理をよりスムーズに行い、リスクを減らすことができます。

お薬カレンダーやピルケースの活用

服薬管理をサポートするツールとして、お薬カレンダーとピルケースが非常に効果的です。

お薬カレンダー
お薬カレンダーは、月ごとに分かれたポケット付きカレンダーで、1日分の薬をポケットに入れることができます。大きな文字で日付が書かれており、視力が低下している高齢者でも見やすい設計になっています。このカレンダーは視覚的に確認できるため、薬を飲んだかどうかを簡単にチェックできます。さらに、日付ごとに薬を入れるので、残薬の管理もしやすく、飲み忘れを防ぐのにも役立ちます。

お薬カレンダーを使っている高齢者の一例として、Aさんのケースが挙げられます。Aさんの娘さんは、お薬カレンダーを用意しました。カレンダーに薬をセットする際、薬を飲んだ後にはシールを貼る習慣を作り、娘さんは定期的に確認して支援を行いました。これにより、Aさんは服薬管理に自信を持つことができました。

ピルケース
ピルケースは、1週間分の薬を管理できる小型のケースです。曜日と時間帯（朝・昼・夕・寝る前）ごとに仕切られているため、どの薬をいつ服用すべきかが一目でわかります。ピルケースは持ち運びが便利で、外出時にも使えるため、薬を持ち歩く際にも重宝します。ピルケースを使うことで、薬を取り間違えたり、飲み忘れたりするリスクを減らせます。

Cさんの家族も、ピルケースを使い始めることで服薬管理がスムーズになったと感じています。特にCさんは外出時に薬を持ち歩くことが多かったため、ピルケースに薬をセットしておくことで、外出先でも安心して服薬できるようになりました。

一包化サービスの活用

一包化サービスとは、薬を服用時間ごとに1つの袋にまとめて包装してくれるサービスです。これにより、複数の薬を個別に取り出す必要がなくなり、服薬の手間が大幅に減ります。袋には服用時間や薬の内容が明記されており、服薬時に迷うことがなくなります。

Bさんは、一包化サービスを利用することで、薬を取り出す手間が減り、誤ってシートごと飲み込む心配もなくなったと話しています。医師からも一包化を勧められ、Bさんはこれを利用し始めてから、服薬の管理がずっと楽になったと実感しています。

まとめ

高齢者の薬の管理においては、加齢に伴う記憶力や身体機能の低下、複数の薬を服用する必要性などが大きな課題となります。しかし、適切なツールを活用することで、これらの課題を克服することができます。お薬カレンダーやピルケース、一包化サービスなどを利用し、生活リズムに合わせた服薬タイミングの調整を行うことで、安全で確実な薬の管理が可能になります。

Aさん、Bさん、Cさんのように、適切な支援を受けることで、薬の管理はより簡単で安全なものになります。家族の支援や専門家との連携が、服薬管理をスムーズにし、本人の安心感を高めることにつながります！